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第2部 一章【ジンギ!】その3 第七話 卓の機能をも利用する

Auteur: 彼方
last update Date de publication: 2026-03-16 10:27:48

23.

第七話 卓の機能をも利用する

 ある日のオーラス。トップ目はアキラ。

 アキラは親番でダントツだった。二着目のジンギですら22600点差で倍満ツモか跳満直撃が条件だ。

「くうー、離されたなあ。さすが、先生は強いわ」

「ふふ、ついてました」

 しかし、ジンギには倍満ツモが可能な手が入った!

(イメージ通り行けばメンピンツモ一通ドラ赤だ。一発か裏があれば倍満……

 ここで大切なのはそんな大物手を作っていると先生に悟らせないことだ。となると……)

 この卓は点棒のデジタル表示が点箱の上と卓中央にあり点差を知りたい時は点箱上の各方向に位置したボタンを押すと右を押せば下家、上を押せば対面、左を押せば上家との点差が画面中央の表示に現れてくれる。つまり、どことの点差を調べているのかが一目瞭然なのである。

 ジンギはここで対面のアキラではなく下家の三着目との点差を卓の機能で調べた。それを見たアキラはこう思う。

(あ、そうだよね。さすがにもう転落することだけ気をつけてる状態で、今から逆転しに行こうなんてことはいくらジンギさんでも考えないよね)

 これならこの局逃げに入る必要はないなとのんびり構えて安心しきったアキラ。

 それがジンギの狙いだとも知らないで。

「リーチ」

(はいはい。二着確保の役無しリャンメンリーチね。まあ、一局無難に過ごして終わろう)と言う顔をしてるアキラ。ポンで一発を消すことも出来るが、まあそこまでやる必要もないだろう。という仏のような余裕の表情を見せる。うんうんうん、好きにやりなさい。と。

 その様子を見て圏外のラス目にいるコテツは(あーあ、知らねーぞ。ジンギさんが点差を卓の機能で調べたことに違和感を感じろよな。この人は能力高いんだから暗算出来るだろうに。つまり、そんな必要のない機能を使うこと自体おかしいと思わねーと)と冷静に見つめていた。

「ツモっ!」

一二三四伍七八九⑤⑤赤567 六ツモ(一発)

「一発がついて4000.8000の2枚」

「倍……ツモ?!」

「ほらー、だから言ったじゃん(言ってない)」

「な、だって下との点差しか見てなかったから大丈夫だと思ったんだよ」

「分かって無い。その点差チェックの時点からジンギさんの戦略だったんだよ。そうだよね? ジンギさん」

「さすがにコテツのことは騙せなかったか…… まあ、これで先生がのんびり構えてくれたらいいなって。先生は真っ直ぐだから見たままの情報を素直に受け取りそうでしょ」

「それね」

「うぐぐ。2人してばかにしてる……!」

 とても悔しそうなアキラ。だが、その素直さがアキラの魅力でもある。

「まあ、先生はさ。ボーリングで超ど真ん中に投げるのが上手な人みたいなものよ」

「あー、あの真ん中すぎて最後の列の両サイド一本ずつが残ってしまう感じね」

「そうそう、高得点になるけど完璧になれない感じ」

「くっ、たしかにボーリングやるといつもそれになる」

「あははは、やっぱりな」

「コテツは見抜いてたんだ? ジンギさんの手」

「まーな」

 ラスが随分と偉そうにそう言って胸を張る。

「コテツみたいに裏を読める人は憧れるよ。すごいよなあ」

「あはは! アキラはそのままでいいんだよ」

「そうそう、先生はその真っ直ぐさが武器なんだから。そのままでいい」

 日々精進する戦士たちはお互いにぶつかり合い吸収し合い鍛錬を積み重ね力量を上げていくのであった。

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